- 最終更新
- 2026年10月27日(初回公開 2026年10月23日)
- 情報確認日
- 2026年10月27日時点の公表資料で確認(パナソニックHD・経済産業省・東京都の公表資料)
- 執筆・監修
- えねっとハウス(サステナブリッジ合同会社)
この記事の答え
窓ガラスそのものが発電する「ガラス型ペロブスカイト太陽電池」は、パナソニックが2026年9月に先行量産品(数量限定)の販売を始め、2029年4月から本格量産に入ります。YKK APや三協立山などは「内窓」に組み込む形を開発中です。ただし2026年10月時点で、戸建て住宅向けの発売時期を公表したメーカーはなく、価格も一律には決まっていません。
- パナソニックの発電効率は、約30cm角(804㎠)のモジュールで18.1%(第三者機関の認証値)です
- 実証は今のところビル・公共施設・店舗が中心です。国の戦略では、ガラス型は「住宅の窓ガラスの代替」としても期待されています
- 今の住まいでは、屋根の太陽光と内窓の断熱を、補助金が受付中のうちに進めるのが現実的です(2026年10月27日時点)
ペロブスカイト太陽電池とは?
ペロブスカイト太陽電池は、インク状の材料をガラスやフィルムに塗って作れる、日本発の太陽電池です。いま屋根に載っている太陽光パネル(シリコン系)は重く、置ける場所が限られます。ペロブスカイトは薄く作れるため、これまで置けなかった窓や壁、軽い屋根にも使えると期待されています。
形は大きく2つあります。軽くて曲げられる「フィルム型」と、ガラスの間に発電層を閉じ込めた「ガラス型」です。国の戦略では、ガラス型はフィルム型より水に強く、耐久性を確保しやすいとされています。そのうえで、ガラス型について「既存の高層ビルや住宅の窓ガラスの代替設置が期待」されると書かれています。
窓や外壁など、建物の部材そのものが発電する仕組みを「建材一体型太陽電池(BIPV)」と呼びます。今回話題になっているのは、このBIPVとしての窓です。

パナソニック・YKK AP・三協立山の動き(年表)
「窓で発電する」技術は、ここ数年で研究から販売の段階に移ってきました。メーカーの公式発表をもとに、主な動きを並べます。
| 時期 | 出来事 | ポイント |
|---|---|---|
| 2023年8月 | パナソニックが、神奈川県藤沢市のモデルハウスのバルコニーで、ガラス建材一体型の長期実証を開始 | 住宅での実証。目隠しと光の通しやすさを両立するデザイン |
| 2025年11月 | パナソニックが、国の基金事業で量産技術の開発と実証に着手(2025〜2029年度) | AGCなどと連携。実証は公共・商業施設が中心 |
| 2025年11月 | YKK APとパナソニックが、大阪の「谷町YFビル」で、ガラス型を内窓に使った実装検証を開始(約1年間) | 内窓4窓。回路はつながず、発電性能ではなく取り付けやデザインを検証 |
| 2026年3月2日 | パナソニックが、門真市の自社の新しい建物「西門真新棟」の窓5枚にガラス型を実装し、長期実証を開始 | 建材としての取り付け方法や配線方法を検証 |
| 2026年3月10日 | 三協立山・アイシン・山下設計が「内窓設置型ペロブスカイト太陽電池ユニット」を共同開発 | 窓の内側に後付けし、外の足場が不要。ユニット内に断熱材を入れられる。店舗で実証へ |
| 2026年9月 | パナソニックが先行量産品の販売を開始。神戸の旅客ターミナル「かもめりあ」で運用開始 | 合わせガラス8枚を正面入口に設置し、電力系統に接続 |
| 2026年10月20日 | パナソニックが、本格量産を2029年4月に前倒しすると発表 | 滋賀県長浜市の拠点で生産。当初は2030年度の予定 |
出典:パナソニックHD プレスリリース(2023年8月31日、2025年11月14日、2026年9月24日、2026年10月20日)、2025年11月20日(YKK APと共同)、2026年3月2日)、三協立山 ニュースリリース(2026年3月10日)(2026年10月27日確認)
パナソニックのガラス型は、独自のインクジェット塗布製法とレーザー加工を組み合わせ、大きさや光の通し方、模様を自由に決められるのが特長です。神戸の施設では、波をデザインしたガラスが使われています。窓の「眺め」と「発電」を両立させる考え方です。
公式サイトとよくある質問で公表されている内容は、次のとおりです(2026年10月時点の開発状況)。
| 項目 | パナソニックの公表内容 |
|---|---|
| 発電効率 | 約30cm角(804㎠)のモジュールで18.1%(第三者機関の認証値) |
| 構造 | 建築基準に合う強度・厚みのガラスに発電膜を塗り、合わせガラスにして外気を遮る |
| 耐久性 | 建材としてガラス建材と同等、太陽電池として結晶シリコン型と同等を「目指している」段階で、試験で検証中 |
| 価格 | 一律の価格は設定していない。仕様・数量・施工方法などで変わり、案件ごとの相談 |
| 入手 | 先行量産品は数量が限られ、新たな提供は難しい状況。2029年4月以降の納入は問い合わせで相談 |
| 設置先 | 新築・既存の改修とも対象。既存建物はガラス交換や内窓の設置などを建物の条件に応じて検討 |
出典:パナソニックHD「ガラス型ペロブスカイト太陽電池」公式サイト、同 FAQ(2026年10月27日確認)
発電効率の「18.1%」は、検索の要約などで「30cm角」と書かれることがありますが、公式サイトでは実用サイズ804㎠のモジュールの値と示されています。より大きなサイズでの高効率化は開発中とされ、透過性や模様の決め方によっては発電量に影響が出る、とも説明されています。窓1枚の大きさで同じ効率が出るとは限りません。
YKK APについては、2026年3月の報道で、建材一体型太陽光の生産を2027年度から始め、それに先立ち内窓タイプの営業を2026年度末に始める計画と伝えられています。報道では、主な対象は既存のビルとされています。YKK APの公式サイトは2026年10月23日からメンテナンス中で、10月27日時点で発売の正式な発表は確認できていません。
三協立山などのユニットは、窓の内側に後付けするため外に足場がいらず、ユニットの中に断熱材を入れて窓の断熱性能も高められる設計です。発表では、対象にオフィスビル・商業施設・公共施設・集合住宅が挙げられています。戸建て住宅は、まだ挙げられていません。
国と東京都の導入目標
| 主体 | 目標 | 内容 |
|---|---|---|
| 国(経済産業省) | 2040年に約20GW | 大幅なコスト低減が進めば約40GW〜。2025年度から国内市場を立ち上げる |
| 国(発電コスト) | 2040年に10〜14円/kWh以下 | 2030年までに14円/kWhが可能な技術を確立する目標 |
| 東京都 | 2035年に約1GW、2040年に約2GW | 当面は都の施設への先行導入と、民間事業者への導入支援が中心 |
出典:経済産業省「次世代型太陽電池戦略」(2024年11月)、東京都「次世代型ソーラーセルの普及拡大に向けたロードマップ」(2025年3月28日)(2026年10月27日確認)
国も東京都も、まずは公共施設や事業者の建物から導入を広げ、量産でコストを下げていく順番を描いています。2026年7月には、政府の成長戦略でもペロブスカイト太陽電池が重点投資の対象に位置づけられました。
ペロブスカイトの窓のメリットと課題
期待が大きい一方で、まだ解決途中の課題もあります。国の戦略とメーカーの公式情報で確認できる点を整理しました。
| 区分 | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| メリット | 置ける場所 | 窓・壁・バルコニー・手すり・ひさし・天窓など、屋根以外にも使える(パナソニック) |
| メリット | 発電する時間帯 | 東西の壁面なら、南向きでは発電が少ない朝夕に発電できる(パナソニック) |
| メリット | 遮熱 | 光の一部を電気に変えるため、室内への熱の入り込みを抑える効果が期待される(パナソニック) |
| メリット | 材料 | 主な原材料のヨウ素は、日本が世界第2位の産出量(シェア約30%)(国の戦略) |
| 課題 | 耐久性 | 耐久性の向上に向けた技術開発が引き続き必要(国の戦略)。パナソニックも目標を掲げて検証中 |
| 課題 | 鉛の扱い | 代表的な発電層は鉛を含む。フィルム型で1㎡あたり0.5g程度の鉛を適切に処理・回収する必要がある(国の戦略) |
| 課題 | リサイクル | リサイクル技術は開発段階(国の戦略) |
| 課題 | 価格 | 一律の価格はなく、案件ごとの相談(パナソニック) |
出典:経済産業省「次世代型太陽電池戦略」(2024年11月)、パナソニックHD ガラス型ペロブスカイト太陽電池 FAQ(2026年10月27日確認)
「曇りや室内の弱い光でも発電する」と紹介されることもあります。国の戦略の比較表で「日陰・室内等でも発電可能」とされているのは、フィルム型です。パナソニックのガラス型の公式情報では、発電量は設置する方位や日照の条件で変わるとされ、弱い光での発電性能は示されていません。窓に使うガラス型と、フィルム型の特長は分けて考える必要があります。
戸建て住宅の窓には、いつ来る?
2026年10月時点で、戸建て住宅向けの発売時期を公表しているメーカーはありません。太陽光と内窓の両方を施工している立場から見ると、住宅の窓に広がるまでには、次の4つの段階を越える必要があります。
- 量産で価格が下がるパナソニックの本格量産は2029年4月からです。それまでは先行量産品で、ビルや公共施設への導入が中心になります。
- 住宅サイズと施工方法が決まる住宅の窓は大きさも開け方もさまざまです。メーカー各社は、ビルの窓や内窓で施工や配線の方法を検証している段階です。
- 電気の工事とセットになる発電する窓は、ガラスから配線を引き、パワコン(電気を家庭用に変える機器)につなぐ必要があります。パナソニックは、施工には電気設計と建築設計が必要で、配線は各モジュールの端の接続箱からサッシの中などを通す形を想定しているとしています。窓の工事と電気工事の両方を扱える業者が必要になります。
- 補助金の対象に入る東京都は、窓や壁などの建材一体型の太陽光に、機能性PVとして1kWあたり10万円の上乗せをすでに設けています(2026年度。対象は都の認定製品)。住宅向けの製品が認定されれば、この枠が使える可能性があります。

YKK APや三協立山が「内窓」の形を想定していることも、住宅にとっては大事な点です。内窓は今ある窓の内側に取り付けるため、窓を壊さずに工事ができます。三協立山などのユニットは断熱材も組み込める設計で、「断熱する内窓」に発電の機能を足す考え方です。発電する内窓が住宅向けに実用化されれば、今の内窓リフォームと同じ流れで取り入れられる可能性があります。
見通しを整理すると、2029年3月まではビルや公共施設での実証と先行量産品の時期、2029年4月からはパナソニックの本格量産で供給が増える時期です。えねっとハウスでは、戸建て住宅向けの製品と価格が見えてくるのは、早くても本格量産の後と見ています。神戸の施設の実証も2029年3月までの予定で、耐久性などの結果はその頃にそろってきます。
待つべき?今の住まいでできること
「窓で発電できるようになるまで待とう」と考える方もいると思います。ただ、住宅向けの時期が見えない一方で、今の太陽光と内窓には手厚い補助があります。待っている間の電気代や暑さ寒さも考えると、次の進め方が現実的です。
- 屋根の太陽光は、今の補助で進める東京都の既存住宅なら、太陽光は1kWあたり15万円(3.75kWまで、上限45万円)、3.75kWを超えると12万円です(2026年10月27日時点で受付中)。軽量型などの機能性PVを使えば上乗せもあります。費用の目安は太陽光発電の費用の記事、補助の詳細は東京都の太陽光発電補助金の記事をご覧ください。
- 窓は、まず内窓で断熱する窓は、家の中でも熱が出入りしやすい場所です。内窓で断熱しておけば、冷暖房の電気代を抑えられます。東京都の高断熱窓の助成(2026年度)は、窓の大きさと性能に応じた単価の合計で、上限は1住戸あたり200万円です(国の「断熱等+防犯窓」に登録された製品は300万円)。2026年10月27日時点で受付中です。
- 国の窓の補助は予算の残りを確認する国の「先進的窓リノベ2026事業」は、予算に達し次第受付が終わります。2026年10月27日時点の予算に対する申請額の割合は約32%(概算)です。
- 発電する窓は、出てから比べる住宅向けの製品が出たら、価格・発電量・耐久性・補助金を、屋根の太陽光と比べて判断します。屋根に載せられる家なら、当面は屋根のほうが費用あたりの発電量は大きいと考えられます。
屋根の太陽光と窓の断熱は、どちらも先に進めて損になりにくい工事です。発電する窓は、その次の選択肢として考えるのがよいと考えています。
えねっとハウスの取り組み
えねっとハウスは、太陽光発電と内窓リノベ(窓の断熱リフォーム)の両方を扱う施工店です。発電する窓は、まさにこの2つが重なる分野です。メーカーや国・東京都の発表を日々確認し、住宅向けの製品や補助制度が出たときは、この記事を更新してお知らせします。
補助金申請の書類作成と手続きは無償で代行しており、代行件数は2022年10月から2026年10月までで約1,070件です(補助金サポートの詳細)。下の藤沢市の事例は、同じ家で太陽光と内窓の両方を施工したものです。
施工事例|神奈川県藤沢市 【神奈川県藤沢市】太陽光発電・内窓リノベ 導入事例- 設備
- 太陽光5.4kW
- 補助金
- 先進的窓リノベ2025
- 住宅
- 築20年、木造2階建て
- 設備
- 太陽光4.8kW/蓄電池14.9kWh
- 補助金
- クールネット東京
- 住宅
- 築12年、木造2階建て
- 設備
- 内窓リノベ
- 補助金
- クールネット東京、先進的窓リノベ2025
- 住宅
- 築28年、木造2階建て
太陽光の基本は太陽光発電の基礎知識の記事、そのほかの事例は施工事例の一覧をご覧ください。
よくある質問
今、自宅の窓をペロブスカイトの発電ガラスにできますか?
YKK APの発電する内窓はいつ買えますか?
今の太陽光パネルと比べて、何が違いますか?
ペロブスカイトの窓に補助金は出ますか?
発電する窓が出るまで、太陽光や内窓は待ったほうがいいですか?
ペロブスカイトの窓の価格はいくらですか?
ペロブスカイトの窓は、曇りや室内の光でも発電しますか?
まとめ
窓が発電する時代は、パナソニックの先行量産品の販売開始(2026年9月)と本格量産の前倒し(2029年4月)で、一歩近づきました。YKK APや三協立山は内窓に組み込む形での製品化を進めています。ただし当面の導入先はビルや公共施設・店舗で、戸建て住宅向けの時期と価格はまだ公表されていません。今の住まいでは、補助が受付中のうちに屋根の太陽光と内窓の断熱を進め、発電する窓は製品が出てから比べるのがおすすめです。えねっとハウスは今後も最新情報を追いかけ、この記事でお知らせします。
出典・参考資料
- パナソニックHD「ガラス型ペロブスカイト太陽電池の本格量産計画を一年前倒し、2029年4月より長浜拠点で生産開始」(2026年10月20日)(2026年10月27日確認)
- パナソニックHDほか「遊覧船ターミナル『かもめりあ』にガラス型ペロブスカイト太陽電池を設置」(2026年9月24日)(2026年10月27日確認)
- パナソニックHDほか「グリーンイノベーション基金事業で『ガラス型ペロブスカイト太陽電池の量産技術開発とフィールド実証』に着手」(2025年11月14日)(2026年10月27日確認)
- パナソニックHD「ガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池 Fujisawa SST内で長期実証実験を開始」(2023年8月31日)(2026年10月27日確認)
- パナソニックHD「ガラス型ペロブスカイト太陽電池をパナソニックHD 技術部門『西門真新棟』の窓部へ実装、長期実証実験を開始」(2026年3月2日)(2026年10月27日確認)
- パナソニックHD「ガラス型ペロブスカイト太陽電池」公式サイト・FAQ(2026年10月27日確認)
- 三協立山「建物改修時のZEB化に貢献『内窓設置型ペロブスカイト太陽電池ユニット』を共同開発」(2026年3月10日)(2026年10月27日確認)
- パナソニックHD・YKK AP「ガラス型ペロブスカイト太陽電池を内窓に用いた建材一体型太陽光発電」の実装検証(2025年11月20日)(2026年10月27日確認)
- クール・ネット東京「令和8年度 既存住宅における省エネ改修促進事業(高断熱窓・ドア・断熱材・浴槽)」(2026年10月27日確認)
- 環境省ほか「先進的窓リノベ2026事業」公式サイト(2026年10月27日確認)
- クール・ネット東京「令和8年度 家庭における太陽光発電導入促進事業」(2026年10月27日確認)
- YKK AP「ガラス型ペロブスカイト太陽電池を内窓に用いた建材一体型太陽光発電の実装検証を『谷町YFビル』にて開始」(2025年11月20日)(YKK APのサイトはメンテナンス中のため、内容はパナソニックHDの共同発表で2026年10月27日確認)
- 日本経済新聞「YKKAP、『ペロブスカイト』一体型の建材 2027年度に生産開始へ」(2026年3月)(報道。2026年10月27日確認)
- 経済産業省「次世代型太陽電池戦略」(2024年11月28日)(2026年10月27日確認)
- 東京都「次世代型ソーラーセルの普及拡大に向けたロードマップを策定」(2025年3月28日)(2026年10月27日確認)
- 東京都「優れた機能性を有する太陽光発電システムを認定」(2026年3月30日)(2026年10月27日確認)
